デジタル教科書100のQ&A【政治・制度・法律編】

提供: みんなのデジタル教科書教育研究会

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デジタル教科書100のQ&A【基本編】
デジタル教科書100のQ&A【Why デジタル編】
デジタル教科書100のQ&A【様々な立場編】
デジタル教科書100のQ&A【政治・制度・法律編】
デジタル教科書100のQ&A【技術・機能編】
デジタル教科書100のQ&A【導入編】
デジタル教科書100のQ&A【運用編】
デジタル教科書100のQ&A【脱線編】


Q05 フューチャースクールってなんですか?

2010年に総務省で始めた、デジタル教科書の実証研究を行う事業です。東西合わせて10校のモデル校で、一人一台のタブレットPCをもたせ、デジタル教科書の可能性を探っています。2009年11月の事業仕分けの再仕分けで、「廃止」の判定を受け、マスコミにも取り上げられるなど話題となりました。


Q06 「フューチャースクール」は、どうして仕分けされてしまったのですか?

前回の仕分け(第二弾)において「ICT利活用型教育の確立支援事業」に対して廃止という結論が 出ており、その時の注文として「将来ビジョンを提示せよ」「文科省を主導とせよ」と提示され たにもかかわらず、今回の仕分け時にもこれらの項目に対する改善が見られなかったという理由です。マスコミには「ゾンビ事業」として取り上げられ、盛田政務官が「事業仕分けを辞めるべき」 と発言した映像が多く取り上げられました。
総務省としては

・文科省のみの「教育の情報化」では、導入の規模や技術力として不十分。
・文科省のみの「教育の情報化」では、社会の情報化のスピードに対して不十分。

という認識を持っているようです。 文科省との協調をはかる時間を取らずに、再度総務省主導のプロジェクトとしてなぜ提示したかという経緯を、現状の学校教育が抱える問題とつなげて考える必要があると思います。


Q16 財源はどうするんですか?

教科書としての位置づけであれば無償ですが、端末については、リースという案もあります。その際、子ども手当の一部をリース代に回すという孫正義氏の提案がある一方、国費を使用せずに 普及させられる仕組みを作る必要があるという指摘もあります。一台2万円とすると、6年間でほぼ紙の教科書の倍のコストが必要です。
デジタル教科書の導入によって日本社会が活性化してイノベーションの種が遍在化する時代が到来すれば、財源問題も緩和するかもしれないという楽観的な見方もありますが、こればかりはなんとも言えません。


Q20 経済効果はあるのですか?

あります。機械を作る会社、販売する会社、学校へインターネット回線を引く会社には、大きなビジネスチャンスです。 また、教材の形が変わることにより、新たな教材会社が参入するビジネスチャンスもあります。 直接的にはデジタル教科書制作会社と周辺のデジタルコンテンツ制作会社がうるおうかもしれません。
一方,教科書流通業者はたいへん困ったことになります。 長期的かつ間接的には、デジタル教科書が国民標準端末の基礎となるため、行政の電子化や医療福祉の電子化や流通消費産業の電子化が促進されて、日本国内の産業コストが低減し、イノベーションが誘導されるのではないかと思います。その意味では日本の産業活性化のキーになる政策に位置づけられます。


Q23 著作権はクリアできるのですか?

内容については、従来のように著作権処理が必要だと思われます。
ただ、もともと「教育現場での利用」においては、著作権による制限は大幅に緩くなっています 。それに加え、作成者が自分の著作権を「誰でも使ってよい」や「○○の条件で自由に使ってよい」 などの指定を行う仕組みを、作る動きが始まっています。
ただ、すべてはクリアできないので、可能なら著作権法を抜本的に改正できると一番良いです。 デジタル教科書にのるコンテンツはそもそも全国民がアクセスするコンテンツですから、国民の利益のためには著作権フリーであるべきでしょう。


Q25 インターネットにつながらない地域の子はどうするんですか?

できる限りつながるような基幹ネットワークの整備が必要です。また、光の道構想が進めば、ほぼすべての地域でつながることとなります。「光の道」でなくてもよいのでそれ相当のもので、できる限りがつながる努力を早急にすべきです。
大都市偏重の過疎地差別が起きないように気を付けていかなければなりません。
一方で、インターネット無しでも学習可能な仕様も準備すべきと思われます。 動画を含めて、基本的なコンテンツは、オフラインでも仕様ができるようにしておかなくてはなりません。


Q28 同じ費用でどんなことができますか?

これについては、税金からの持ち出しがいくらになるかで変わってきます。基幹ネットワーク整 備とデバイスの費用が、現行の教科書無償配布制度での費用より、増える部分となります。
例えば、教職員の定数を増やして、30人以下学級を実現する。校舎の耐震工事を全小学校で完了するなどが考えられますが、いずれにしても、今後、試算をして、比較してみる必要があります。


Q38 支援員は必要ありませんか?

できる限り、必要でなくてもできるシステムを構築すべきです。 現在大手企業はITを円滑に稼動させる為の組織を持っているケースが多いですが、学校単独ではそのような仕組みを構築することは現実的ではありません。 教育委員会単位で、ある程度の支援体制を構築することは必要と思われますが、小さな自治体では、うまくいかないことも考えられます。そのようなことから、支援員に頼らなくても教員の スキルで対応できるようなインターフェースやシステムにする必要があります。


Q39 支援員の人件費も考えていますか?

予算化される必要はありますが、Q38で述べたように、原則としては、できる限り最小限にすべきと考えます。 各校一人ずつのようになると、膨大な予算が必要となり現実的ではありません。


Q66 政権が変わったらプランそのものが頓挫する可能性はありますか?

短期的には可能性はあります。しかし、長期的に見ると、世界の趨勢から教育のデジタル化が完全に止まることはありません。遅くなるかどうかということです。そして、遅くするほど、日本 の教育はリスクを抱えることになると考えています。


Q89 教科書検定はクリアできますか?

法整備も含めて、これから研究されていくと思われます。


Q100 指導要領の改訂にも影響しますか?

文部科学省で研究が計画されているわけですので、今後の研究結果によって、改訂についても反映されていくと思われます。

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