リニューアル版(編集中)

提供: みんなのデジタル教科書教育研究会

目次


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デジタル教科書100のQ&A【基本編】
デジタル教科書100のQ&A【Why デジタル編】
デジタル教科書100のQ&A【様々な立場編】
デジタル教科書100のQ&A【政治・制度・法律編】
デジタル教科書100のQ&A【技術・機能編】
デジタル教科書100のQ&A【導入編】
デジタル教科書100のQ&A【運用編】
デジタル教科書100のQ&A【脱線編】

Q01 デジタル教科書ってなんですか?(2016年版)

新しく編集した内容をここに記す。

【2011年の記事】

今の教科書は、紙でできていますね。 
「デジタル教科書」は、例えば「電子書籍端末のようなデバイスの中に全教科の教科書が入っているもの」と考えると分かりやすいでしょう。
それは、子どもたちが一人一台ずつもって使用することが想定されています。
画像や、音声、動画など、マルチメディア資料を豊富にいれることで、紙の教科書よりも、より理解しやすくなることが期待されているのです。 

※2011年当時から現在までの変遷、変わった内容などについて、このように赤字で追記する。


Q02 教師用と子供用があるのですか?(2016年版)

新しく編集した内容をここに記す。

【2011年の記事】

文部科学省の分け方(「教育の情報化ビジョン」、こちらのPDFのp.10下の部分を参照)では、「指導者用デジタル教科書」と「学習者用デジタル教科書」に分けられています。
「指導者用デジタル教科書」は、すでに販売されています。ただ、それは、「指導書」として販 売されており、公的には「教科書」とは認められていません。教科書をFlashや動画を用いて、動かしたり、書きこんだり、参考動画を見たりすることができ、電子黒板に投影して使用します。 

ここで、議論にしたい「デジタル教科書」は、子ども一人一人に配布されるデバイスに入った教 科書のことで、文部科学省の言う「学習者用デジタル教科書」のことです。

※2011年当時から現在までの変遷、変わった内容などについて、このように赤字で追記する。


Q03 なぜ最近急に話題になったのですか?

2009年11月、当時の原口総務大臣が、原口ビジョンとして「一人一台のデジタル教科書の導入」に言及し、期待が高まったからです。さらに、技術の進歩によって、iPadを始めとしたスレート型PCや電子書籍端末が急激に普及してきたことも一因であると思われます。


Q07 DiTTってなんですか?

デジタル教科書教材協議会の略称です。「全ての小中学生がデジタル教科書・教材を持つ環境を整える」「その実現を図るためのコンソーシアムを形成し、課題整理、政策提言、ハード・ソフ ト開発、実証実験、普及啓発を進める」の2つを目標と掲げています。2010年11月18日現在107の企業が所属しています。
会長は、元東京大学総長の小宮山宏氏。副会長は、立命館大学教育開発推進機構教授の陰山英男氏 東京学芸大学客員教授の藤原和博氏、慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏が務めています。
学校や、研究者というよりも、企業が中心になっています。 詳しくは、以下のHPを参照してください。
デジタル教科書教材協議会 http://ditt.jp/


Q11 紙の教科書はなくなるんですか?

文部科学省では、紙の教科書との併用もあるとされています。
また、デジタル教科書を推進している人の多くは、紙の重要性も主張しています。ですから、科目によって紙が使われたり、資料集のみデジタル化する、などの形である程度併用 されるでしょう。 また、小学1、2年は紙の教科書だけを使う、といった案を複数の人が唱えています。
長期的に見れば無くす方向とみる人と、無くさず併用という意見で分かれています。無くして、その財源をデバイスに充てるべきという意見もあります。


Q13 デジタル教科書のメリットは何ですか?

第一に、どんなところで生徒がつまずきやすいか、などの知識の蓄積がしやすく、また多数の学校での共有が可能です。それは、ある先生が作成した「生徒の理解を助ける教材」の蓄積、共有も含みます。
第二に、生徒一人一人が一台ずつ持って自分の勉強の進度・成果を蓄積すれば、それに合わせた 、一人一人のための、一人一人にあった学習プログラムを容易に作ることが出来る可能性を持って います。これによって、反復が重要な計算の習熟や漢字などの学習は、効率的に確実に行うことが可能となります。
第三に、紙の教科書ではできない「分かりやすい説明」そのものが可能になることです。動画や音声での説明、立体的な映像で資料を生徒が見られます。さらに、それらを生徒が「操作できる」ことも分かりやすさを助けます。たとえば、立体的な図形の映像を、生徒が好きなように回して観察すること、 地図上で自分の見たい部分を拡大・縮小したり、細かい説明を調べられる、などです。
第四に、コンピューターがたくさん浸透した現代において、それを使いこなす能力が自然と身につくことです。デジタル教科書を使うことによって、コンピューターが操作できることは、子供たちにとって「誰でも出来る自然なこと」となります。子どもたちが主体的に情報を集め、加工し、発信しやすくなることで情報モラルや、情報活用の実践力が身に付きます。
この他にも、児童相互の学び合いをより豊かにし、コミュニケーティブな学習ができることや、メディアリテラシーが身に付くことなど、様々な可能性が指摘されています。


Q14 デジタル教科書のデメリットは何ですか?

第一に、デジタル教科書でないとできないことが多い一方、紙の教科書だからこその良さがあります。ある有名な実験で、ある文章をパソコンの画面で読む(文章中に、より詳しいリンクが付いている)、 紙で読むの2通りで試したところ、紙で学ぶ方が内容に集中しやすく、学習効果が高いという結果が出ています。 第二に、すべての「学習」にとって必要である、書くことの減少、考える時間の減少につながる 恐れがあることです。デジタル教科書は多数の情報を一つにまとめられ、検索で瞬時に情報を表示できます。そのため、ある課題に答えを出すために、自分の手や頭を使わなくなる子供が増える恐れがあります。これは、長期的な視点で見ると「検索できない内容に対して、自分の手と頭を使って答えが出すことができない」という大きなデメリットを含んでいます。 第三に、健康面の懸念がまだ払拭されていないこと。 第四に、現場の教師が新しい環境に適合することに時間がかかることが懸念されています。


Q15 いつ頃までに導入するのですか?

当初、2015年までに、全小・中学校へ導入、を原口総務大臣が目指しましたが、その後の議論を見ると、2020年頃が目処ではないかと言われています。DiTTでは2015年を目標に掲げています。2020年ごろ,次期指導要領改訂とリンクし、2030年ごろ,現在の技術的課題の多く がクリアされると見る向きもあります。しかし、海外の情勢を勘案すると、2020年には完全導入にこぎ着けたいところです。


Q18 全部でいくらかかるのですか?

デバイス費用は1台19,800円を目指します。個人負担とするか、子ども手当とするか、他の方法をとるかは未定です。デジタル教科書コンテンツとデジタル基本辞書・資料は「義務教育諸学校の教科用図書の無償に 関する法律および 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」によって無償で提供されます。 その他必要に応じて有料や無料のデジタル教材を使います。これらは、副教材の扱いで、保護者 から集める「教材費」として支出します。 ネットワーク接続を前提とした場合、家庭におけるネットワーク回線費用は各家庭等の負担になります。
したがって,光の道構想に相当するものが実現している必要があります。 導入当初は、ネットワークに接続しない場合も想定する必要があるかもしれません。
支援員の人件費は、自治体負担とします。そのため、特別な支援員はほとんど必要が無く、自治 体が契約した保守業者で対応できる程度の安定したシステムを構築しなければなりません。


Q27 もっと先にやるべきことがあるんじゃないですか?

たくさんありますが、いつまでたっても先にやるべきことが解決していないというのは、それが暗礁に乗り上げているとも言えます。イノベーションにより、先にやるべきことも新しい突破 口が開けて解決の糸口が見つかる場合もあると考えます。 いずれにしても、学校が存在する第一の目的は「生徒が勉強すること」です。ですから、勉強内容のさらなる向上のための手立ては、最も優先度の高い部類に入ると思います。


Q33 何年生から使うんですか?

想定は小・中学生全員ですが、小学校3年生から、4年生から、5年生からという意見もあります。これについても、根拠のしっかりとした議論はまだできていないのが正直なところです。


Q48 ノートや鉛筆もなくなるんですか?

書くことで覚えることも重要です。端末にノート機能も付くはずですが、ノートと鉛筆がなくなることはないでしょう。紙媒体との併用も考えられます。


Q75 電子書籍ブームと関係あるのですか?

電子書籍の技術が発展したことによることが大きいと思われます。とくに、iPadはデジタル教科書に夢とイメージを持たせる上で大きな役割を果たしました。電子書籍端末が多く普及し、多くの人が電子書籍に慣れ親しむことで、デジタルで文字を読むことや学習をすることへの理解も深まると思います。


Q87 すべての教科書が一冊になるのですか?

はい、そうです。一つの端末にすべての教科の教科書を納める方向で検討しています。さらに、副読本や教材なども一緒に入ることになります。


Q97 一人一台である必要がありますか?

全員が使う教科書という形で導入するからこそ、ICTに消極的な先生方でも使わなくてはならない拘束力が生まれ、その結果、すべての教室で使われることになり、効果が上がります。もし 、学級に数台の教材用端末として導入された場合、使うクラスでは毎日使いますが、多くのクラスでは棚の中に眠らせておくということが容易に想定できます。
つまり、コストに見合った効果を挙げるためには一人1台保有する必要があり、複数人に1台では、かけた費用に見合う効果が望めないといえます。


Q98 電子黒板があれば十分ではないですか?

電子黒板とデジタル教科書は、全く違うツールです。 電子黒板は提示ツールであり、子どもたちが手もとに持って使うことはできません。グループでの共同学習、個々の習熟度にあわせた指導の為には一人1台のデジタル教科書が必要です。
電子黒板を見て学ぶ授業から、デジタル教科書を見て、操作して、情報を探し出すという、より能動的な学習へ転換していくことが必要です。 もちろん、電子黒板にしても、デジタル教科書についても、それのみで学習が完結するわけではありません。 たくさんの友達や先生とのコミュニケーションによって、知を獲得するプロセスは変わりません 。
今の授業プロセスに、さらに学びの手がかりが豊かに与えられることによって、厚みが加わると考えてください。


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