デジ教研Meeting05参加者の感想

提供: みんなのデジタル教科書教育研究会

佐賀県からMeetingに参加頂いた中村純一先生から、感想を寄せて頂きました。

Meetingの様子が良く分かります。どうぞ皆様お読みください。




  新潟市内で行われた模擬授業に参加しました。その授業では機能が絞られたシンプルなウェブアプリケーションが用いられました。とても素晴らしい授業だ思いました。シンプルな形で、先生方がICTを利活用して授業を進める一つのモデルとして、十分提案できるものだと思います。

 模擬授業には、15名前後の参加者がおり、主にWindowsやMacOSのノートパソコン、iPad、Androidタブレットを使用していらっしゃいました。ウェブブラウザは、Google ChromeやSafariで動くようになっていたようです。Internet Explorerは、諸事情により、現段階では動かないと言うことでした。IDとパスワードを入力すると、どのデバイスでも表示されていました。模擬授業は、算数の授業でしたが、37個の丸で正六角形になるように並べられた図形を見て、何個あるかを数えるものでした。そのワークシートとなるものを先生がスクリーンで紹介した後、簡単な操作で生徒一人一人の画面に配信されました。「新しい教材が来ました。」をクリックすると、教材が表示され、そこに記入するためのペンツールがそばにありました。私はiPad2を用いて参加しました。図形が描かれた画面を指で色をつけたり、線で結んだり、別の考えが浮かべば、また消してすぐにやり直したりしました。画面操作については、マウスで操作するよりも、タブレット画面に直接、指やペンで書き込んだ方が、直感的で操作しやすいということでした。

 そうして作業を進めている途中、気が付くと、六角形の丸の個数の数え方をどう説明するかを考えながら、思わず童心に返っている自分に気が付いたのです。それは、デジタル教科書やICTの利活用教育について学ぶ教師である自分が、子どもの目線や感覚を自ら体験してみないと見えないものがあることを体感した瞬間でもありました。それは、雑誌や広告などのイラストや写真を切り抜き、広い用紙の好きなところに貼っていく、エンカウンターで時々行われる「コラージュ」をしたときのような感覚です。本当にワクワクしました。

 全国一斉に同じデバイスが支給されることが現実的にまだ考えられない今の段階では、OSに依存せずに、パソコンでも、タブレットPCでも、授業で使用することできるというのは、大切だと思っています。もちろん、子どもたちにとって使いやすいデバイスやOSなどのテクノロジーについての議論も必要だと思います。また、今のところ、子どもたちが使用するデバイスを全国で統一のものに決定したり、どの学校でも全く同じような設備を揃えたりすることは考えにくい状態にあると思います。そして、授業をよりよく改善していくために、ICTを利活用する場面を設けたいと考えている学校現場の先生たちも、「教育の情報化」という流れを受けて、増えてきていると思います。こうした現状において、開発メーカーや企業だけではなく、小さなグループや個人開発者でも、試行錯誤しながら一つのウェブアプリケーションを開発し、提案されたことは、意義深いことだと思いました。
 開発者の後藤正樹さんは、まだ改善の余地があり、実際に子どもたちに授業で使ってもらうことなどを通して、先生にも生徒にも使いやすいものにしていきたいと考えているということでした。

 デジタル教科書やICT利活用教育については、絶対にこれが一番というものはなく、それぞれがそれぞれの立場で研究や実践を重ねていると思います。だから、ICTが使われた模擬授業に子ども役として参加し、そうしたツールを実際に操作することで、触ったからこそ分かる感覚を知ることは、大切にしたいことだと思いました。その感覚を体験してもらうことも、デジタル教科書や様々なICT利活用教育についての誤解や先入観を軽減し、多くの先生方にメリット、デメリットも含めて理解してもらえることにつながるだろうと思いました。

 教師である自分が子ども役として模擬授業に参加し、「ワクワク」を感じた、あの感覚は忘れられません。ぜひ、「ワクワク」という感覚を味わってもらう機会が増えてほしいと思いました。参加させていただき、ありがとうございました。

 佐賀県・中村純一(公立中学校英語科教諭)

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