デジタル教科書100のQ&A【様々な立場編】

提供: みんなのデジタル教科書教育研究会

目次


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デジタル教科書100のQ&A【基本編】
デジタル教科書100のQ&A【Why デジタル編】
デジタル教科書100のQ&A【様々な立場編】
デジタル教科書100のQ&A【政治・制度・法律編】
デジタル教科書100のQ&A【技術・機能編】
デジタル教科書100のQ&A【導入編】
デジタル教科書100のQ&A【運用編】
デジタル教科書100のQ&A【脱線編】


Q09 外国ではどうしているんですか?

韓国では2011年から、デジタル教科書の利用が義務化されます。 アメリカは様々ですが、2011年からデジタル教科書へ全面移項する高校も出てきました。
current.ndl.go.jp/node/16309
一方、カリフォルニア州は財政難のために、教育費が削り、その方法として、 (e-learningと呼ばれる)デジタル教科書の利用しています。 他に、ポルトガルでは年齢に応じた3種類のPCと50以上の教育コンテンツを提供する 「マゼランプロジェクト」が始まり、約100万人の小中学生(小学校90%、中学校40%)にPCを 配布しました。
resemom.jp/article/2010/10/20/12.html
イギリスでは英国政府が、ホーム・アクセス・プログラム (Home Access Programme) と呼ばれる インターネット・アクセス支援プログラムを2008年9月から始めています。すべての子どもたちが、自宅からインターネットにアクセスし、教育機会が提供されることが目的です。


Q10 教科書会社はどう思っているのですか?

これまでも、光村図書などから、「指導者用のデジタル教科書」は発行されていましたが、 2012年度からの小学校教科書に準拠した「指導者用デジタル教科書」が28種類作られるそう です。ただし、指導用デジタル教科書は生徒用教科書と違い、使用義務がありません。 金額も、学校ライセンスで各学年・教科ごとに数万円する場合が殆どで、予算面で通らないこと も多いようです。
主に、電子黒板で使うために開発され、実際に利用が始まっています。


Q12 学校の先生はどう考えているのですか?

授業におけるICT活用が始まったばかりであり、デジタル教材の活用が進みつつある段階です。デジタル教科書についてのニュースを、新聞やインターネットなどを使って積極的に集めている 一部の先生を除くと、そもそもデジタル教科書について考える機会のない先生が多いでしょう。多くの人は、議論の存 在にすら気が付いていません。議論を知っている人も、まだまだ先の話と思い問題にしていない 人が殆どです。


Q08 文部科学省はどう考えているのですか?

「教育の情報化ビジョン」の中で、2020年をめどに研究が始められてはいます。 ただ、環境をどう整備するか,ということに関して積極的に文科省自らがコミットするような動 きは,目立って見えていません。まず先に「これこれこういう教育をしたいから,こういう環境 が必要だ」という流れのスタンスを取っていると言えるでしょう.これは最近平成22年10月 29日に出た「教育の情報化に関する手引 」(www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1259413.htm)にも出ており、

・教科指導でどう活用するか

・情報活用能力をどう育てるか
・校務の情報科をどうするか
・教員の資質をどうするか

という章を経てから

・学校のICT環境整備をどうするか

という流れになっています。


Q44 先生方の議論が盛り上がっていないと聞きますが、なぜですか?

まだ、デジタル教科書についての情報が少なく、イメージしにくいこともあるからだと思われ ます。
また、一方で現在の指導法を変えるというのは教師にとって非常に大きな負担だからです。これ を慣性の法則とよび自然界の最も基本的な法則の一つです。運動の状態を変えるためには力が必 要です。力の効果は力の大きさとそれを加える時間の積に比例しますから

A:トップダウンで行う
B:ボトムアップでゆっくりと変革していく

の2つの戦略があると思います。
いずれにせよ、必要で、導入が本決定となれば、議論もわき上がってくるでしょう。


Q45 産業界が盛り上がっているのはなぜですか?

小中学校で1000万人、大学まで入れて1500万人の市場が今後構築される為注目していることは事実です。しかし、企業にも将来の日本の為に教育を真剣に論じている方々がいることも事実です。


Q46 研究者の考えはどうなっているのですか?

賛成・反対の立場から、さまざまな意見が出されています。 指導者用デジタル教科書については、すでに論文等も発表されております。学習者用デジタル教科書については、韓国での事例などが研究対象となっておりますが、日本ではまだ、現実的な動きが始まったばかりなので、今後、活発に研究されていくことと思われます 。


Q47 子どもたち自身はどう感じているのですか?

まだ、研究・検証が始まったところであり、その中で子どもたちの使用感想が出てくると思われ ます。
あるアンケートでは、「持ち物が少なくなる」「授業が分かりやすくなる」という期待感がある 一方、「忘れたときに全教科を忘れるので困る。」「目が悪くなるのでは無いか」などと懸念す る声も聞かれました。
いずれにしても、子どもたちが、安心して、喜んで使えるものに仕上げる必要があります。


Q73 進めている人はどんな人がいるのですか?

政治家では、原口一博前総務大臣が協力に推進しています。また、産業界ではソフトバンクの孫 正義さんが有名です。教育界では、慶応義塾大学の中村伊知哉先生や100マス計算などで有名 な陰山英男さん、「世の中科」で知られる藤原和博さんらが推進しています。 これらの有名な方々ばかりではなく、私のような一教員や一市民にも推進しようと努力している 人はたくさんいます。「みんなのデジタル教科書教育研究会」には、160名の人が集まり、それぞれの立場で研究活動を進めています。


Q90 導入が進んでいる国と日本との違いはなんですか?

韓国では、指導者側のデジタル化が日本より進んでおり、「学習者用デジタル教科書」も早く導 入されます。すでに、15年に渡る下準備があったとのことで、念入りに準備されてここまでき たようです。 一方、日本では、これまであまり準備されてきたというわけでなく、ここにきて急に話題に上っ た感じは否めません。
その差は大きいと思います。しかし、挽回できない差ではありません。


Q95 国民の考えはどうやって反映されるのですか?

DiTTなどの研究協議会だけでなく、意見を集める場が作られていくのではないかと思われます。 この「100のQ&A」は、その時の羅針盤になることを想定して作成しました。

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